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「ナツノクモ」考察 [漫画・小説]

新たにカテゴリー増設しました

第1回目として 前回の記事で紹介した篠房六郎氏の「ナツノクモ」について

http://www.ikki-para.com/comix/natsunokumo.html

リネンという会社が運営するMMORPG(作中ではボードゲームと呼ばれる)だが PvP対戦が主体(モンスター討伐もあるようだが)のアクション要素が強いオンラインゲームが舞台だ

(ここから先はネタバレの可能性があるため読む前にここを見られた方は 読んだ後でどうぞ)
※但し ネタバレと言ってもあくまでも私個人の感想が主体のため 作者が意図するものと実際違うかもしれませんのであしからず・・・









































内容はまぁ各自見て頂くとして 見た感想をいくつか

① 題名になっているクモについて
wikiなどの情報だと「作中が夏休み中の設定のため」とか「蜘蛛の怪物カバキ」とかの説があるようですが やはりカバキの説を推します 第1巻に一寸しか登場しないのに 表紙カバーにもなっているクロエは文字通りクロゴケグモもイメージされた外装(キャラクターデザイン:性能含む)と思われるからです

② 主人公(と思われる)のトルク(=コイル)のプレイヤーである伝堂という人物は このリネンの開発者側の人間であり その開発途上で発生した事故(事件)や家庭内事情により ゲームの世界に没頭(逃げ込んで)してしまった経緯がある そのため本来の社交性や人格に支障を来たし 「廃人(神)プレーヤー」になったものと思われる トルクは裏技的外装ではないかと作中でも紹介されているが リネンから提供されている外装というより伝堂が己の逃避行為の為に自ら作成した外装ではないかと思う
本人に備わった性能「ガッツ」や「ドラゴンハンド召喚」、「ワクチン弾を発射できるライフルアーム」など多数を装備している点などだけをとっても 通常外装では実現不可能と思われる
(高額マネーで取引きできる類の装備や性能でもない)
では何故親会社であるリネンがそれを許し かつ外部から保護しているのか
それはシステム上の問題である精神依存度の高いゲーム仕様や 内部情報の漏洩・内部告発などを恐れたからだと思う(要は飼い殺し状態)

③ 2人目の主人公とも言えるガウルは 実際には高校生という設定だが 元々社交性に欠けるところがあり その上虐待などで 余計に他人(自分以外)に対して心を開かないというところから 現実世界からゲーム内に逃避したものの 持ち前の内向性と反発心で孤立を深めていった
そんな中 遭う事が出来たカミオばあちゃんやリーゼ トルクやアーネフェルトなどの他意を持たず心から接してくれる人に反発しながらも惹かれていったのは必然ともいえる
だからこそ心配してくれるとはいえ表面上の感を否めないクロエに猜疑心を拭えないのだろう

④ 物語の大多数の舞台となるタランテラという開放ボード(無制限接続可能サーバー)で行われている「精神動物園」という名の”家族ごっこ”を始めたゴローというGM(ゲームマスター)が起こしたリアルでの事件 これについても本人の性格もあろうが ゲームやコミニティ・他PCが与えた影響も多大にあると思われる
この物語については 影の主人公とも言えるクランクの存在が全ての元凶とも言えるかもしれない
(そういう意味では誰も彼もが 彼の実験の被害者となるだろう)

⑤ 3人目(もしかしたらこちらが主体かもしれないが)の主人公のクロエ その正体は最終巻の巻末で露にされるが 実は祖父を自宅療養している中学生(もしかしたら小学生かも) そのため義家(ギカ=擬似家族)や園内での保護者的役割を文字通り演じているが ゲーム内での言動に幼稚さや精神面での不安定さを隠しきれないでいる
この対応にガウルは本能的に不信感を募らせている(特にリーゼに対する感情など)

⑥ これは⑤にも通じるが ガウルの不信感の元となるリーゼのことだが 物語中では現実世界で自殺してしまった少女とのこと
だが ゴローがカバキを渡したのはリーゼであり リーゼ亡きあとクロエがカバキを操っていることから リーゼ=クロエの二重人格だったのではないか? そんな気もします
(但し最終話を見る限り2セットもゲームギアを買い揃える予算がある家庭には見えませんが)


精神依存や逃避のためにゲーム世界に没頭していくことは 現在リアルでも実際に世界的に問題になっており この手のオンライン世界では細心の注意と対策をしなければ同様の危険性があるのは間違いありません

実際に3D映画の「アバター」を見た観客が現実世界への失望から”うつ”になっている人も居るとよく耳にします

映画でもゲームでも リアルさを追及した結果 それに対する揺らぎ(粗や余地)を徹底して排除し観客(視聴者、体験者)に考える余裕を与えないほどの情報を叩き込むことが 原因として大きいのではないかと思います


FFシリーズやモンハン、リネージュなどの大型MMORPGやそれ以外のゲームが 今後どのような発展を遂げていくかまだ未知数だが 粗探しが出来る程度の反リアルさを残すということも必要なのかもしれない


実際 このコミックが発刊されている頃にちょうどFF11をやっていたため 他人の動向やゲーム内の思いやりについても同時進行で考えさせられた気もする

興味がある方は是非 見てみてください


篠房六郎日記
http://cgi.din.or.jp/~simofusa/cgi-bin/jinny/





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tamanossimo

kazさま、なんだかイキイキしてる!
by tamanossimo (2010-03-04 00:23) 

kaz

新しく始めたこのカテゴリー
果たして本自体の紹介記事となるのか! はたまた単なる読書感想文で終わるのか! 更にはネタバレ記事満載で誰も読めなく(?)なるのか!

乞うご期待 ♪
by kaz (2010-03-05 15:08) 

あ

リーゼ=最後のシーンの少女=今のクロエ 
クロエ=昔のクロエ=自殺した女

クロエの中身が死んだ時からリーゼの中身はクロエの中身となった。
そんで動物園にはリーゼの中身が死んだ、とクロエの外装でリーゼが伝えた。

ってミカオばーちゃんがいってた。
by あ (2011-02-24 07:43) 

kaz

あさん コメありがとうございます^^
なるほど~ ミカオさんそんな重要な秘密を知ってたんですか・・Σ(゜д゜|||)
最終話のあのシーンでも 結構納得はいってたつもりだったんですが 先生の手引きで リアル ミカオさんの入院先にリーゼ又はガウルとかがお見舞いに行って 手を握ってやる なんてシーンも見てみたかったな・・・ なんて思う今日この頃です
by kaz (2011-02-24 23:03) 

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